活動記録
進藤ひろゆきの主な日々の活動についてお伝えします。
2014年8月25日 月曜日
根本祐二 東洋大学経済学部教授を講師とする地方議員研究会主催のセミナー「地域はどう評価されているか-客観的地域分析手法への招待-」へ行ってきました。
根本教授の経歴を紹介しますと、鹿児島市の出身で、東京大学経済学部卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)に入行され、同行地域企画部長を経て、2006年に塩川正十郎 東洋大学総長が同大学に修士課程の公民連携専攻立ち上げる際に転籍され、現在は、東洋大学経済学研究科公民連携専攻長、PPP研究センター長を兼務されています。著書には「朽ちるインフラ」「豊かな地域はどこが違うのか」「公民連携白書」(共著)などがあり、内閣府PFI推進委員会委員、国土交通省社会資本整備審議会社会資本メンテナンス戦略小委員会委員なども兼務され、幅広い領域で活躍されています。
地球規模での地域間競争にさらされている地方自治体が、この地域間競争に勝つためには、人口増加、観光集客、企業誘致などをしていく必要があります。しっかりとした地域政策を策定して、地域という商品を、人や企業という消費者に販売した時に買っていただくためには、その商品である地域に客観的な魅力付けが必要です。
そこで今回の研修では、まず地域分析手法としての”コーホート分析”について学んできました。
この”コーホート分析”は、5歳刻みの年代の社会移動(社会的地位の変化)を見るために、5年毎に行われる国勢調査のデータを基にして、その年のある世代の人口から、5年前の5歳下の人口を引き算して5年間の社会移動(死亡などの自然減少分を含む)を見るものです。この値がプラスであれば社会増、マイナスであれば社会減を示しており、つまりは同級生が何人増減したかを意味します。
人間は人生において、子どもの進学や就職、子育て場所の選択、マイホームの購入、定年退職など、何らかのイベントがあるときに居住地を移動するため、年齢別のプラスマイナスをグラフにすることで、その地域の特徴をつかむことができます。
研修では多くの事例紹介がありましたが、ここでは関東圏で主に漁業が盛んな市として考えられる千葉県銚子市と館山市、神奈川県三浦市の3市の分析事例を紹介します。
分析結果から、銚子市は高校生・大学生・就職期に大量流出するなど全年代でマイナスになっており、学校や仕事場が少なく定住の魅力が乏しいこと、三浦市は高校生・大学生・就職期に大量に流出するが、30・40歳、5~9歳がプラスになっており、30代中盤以降のファミリー層のU・Iターンが推測されること、館山市も高校生・大学生・就職期に大量に流出するが、25~29歳代で大幅にプラスになって、その後もプラスを維持しており、若年世代・中高老年世代を通じて雇用機会が存在することなどが推測されます。
次に、どうしてこのような人口移動が発生するのかを分析するための”従業通学分析”についても学びました。
この”従業通学分析”は、国勢調査のデータを基にした昼夜間人口比率、従業通学者比率、流出比率、流入比率と、経済センサス(経済構造統計を作成するための調査)のデータを基にした産業別従業員数比率を、それぞれ全国平均と比較することで、その地域の産業の特徴を分析するものです。この産業別従業員数比率によれば、館山市は水産関連産業のウエイトが三浦市と館山市に比較するとかなり低く、現状では魚と関係がない市になっており、さきほどの人口コーホート分析を裏付けるデータが得られていました。
この地域分析手法に興味のある方は、冒頭紹介した根本教授の著書を参考にしてください。
今回学んだ分析手法を活かして、「誰もが住みつづけたくなる長岡京市」の実現へ向けた政策提案をこれからも行ってまいります。