議会報告
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2004年12月
議案:第80~99号議案20件/報告:2件/請願:3件/意見書案:4件
※他の議案は、平成16年度一般会計補正予算、長岡京市個人情報保護条例の一部改正など
(お願い:この記録は進藤ひろゆき・賛成討論の全文です。進藤ひろゆきの「想い」を皆様に少しでもリアルにお伝えできればと、文言もできるだけそのまま掲載していますが、長岡京市議会の公式記録ではありません。どうぞ予めご了承ください。)
ただいま議題となっております、第91号議案 長岡京市水道給水条例の一部改正について、フォーラム21を代表し、意見、要望を申し述べ、賛成の討論を行います。
平成12年10月の京都府営水道の受水開始以来、多額の府営水受水費負担に伴う厳しい水道事業の現状に対して、水道事業のより効率的な運営を図るため、学識経験者や市民の皆さんを委員として、水道事業経営の健全化や将来の計画策定を目的として平成15年7月に長岡京市水道事業懇談会が設置されました。
そして、<1>地下水と府営水道の二元水源のあり方、<2>施設整備計画の方向、<3>水道料金のあり方について、平成15年7月26日から平成16年10月19日まで10回にわたって開催された懇談会において、委員の皆さんにより慎重な調査と審議がなされ、平成16年10月19日に長岡京市水道事業懇談会から長岡京市水道事業管理者へ「今後の長岡京市水道事業のあり方について-効率的な運営を目指しての提言-」が提出されました。この第91号議案は、提出された提言の内容をベースに、平成17年度から平成21年度の5年間を料金算定期間として、水道料金を平均15.27%アップする内容となっています。
京都府営水道の導入については、昭和38年の水道事業開始以来、地下水を唯一の水源として水道事業を進め、人口の急増、大手企業の進出などで大量の地下水が必要となり、大量の地下水くみ上げによる地下水位の低下や地盤沈下という問題が顕著になり、地下水保全へ向けてくみ上げを抑制したために不足する水量の代替水源としての位置づけと、記憶に新しいところでは、平成14年3月に当時の滋賀県信楽町でフェノール系の汚染により約3,300世帯、約10日間にわたって発生した上水道の断水事故がありましたが、水源をひとつだけに頼らない危機管理としての位置づけを考えれば長岡京市にとって必要不可欠なものであることは誰しもが認めるところです。
今は市の東部でしかくみ上げることができない地下水原水の水質は、鉄、マンガンの含有量が水道水質基準を大きく超えているため除鉄、除マンガンなどの浄水処理が不可欠であることや有機塩素系化合物が環境基準を上回って検出されることがあること、また、近年では水道水中のクリプトスポリジウム(病原性微生物)に起因する水系感染症に対する浄水処理施設が設置スペースの関係で対応できていないことなどから、危機管理としての側面から京都府営水道の重要性はより増してきていると考えます。現に、この6月に行われた取水井戸の原水検査でクリプトスポリジウムの指標菌である大腸菌が検出されたために東6号井戸は取水を停止し、大腸菌群が検出された東1号井戸も取水を停止している状況です。
ここで、水道事業の財政収支を見ますと、このまま水道料金を改定しなければ、水道事業として可能な限りの経営改善策を追加して盛り込んでも、平成21年度末での累積欠損金は約20億円となる見込みです。水道事業は公営企業であり、公営企業の原則である独立採算からもその経費は料金収入を持って100%充てるべきであり、この累積欠損金を解消するためには、受益者負担の原則から益を受ける水道の使用者が、ペットボトルの水の料金と比較をするとまだまだ水道の料金は安いことも考えますと、現に今自分が使っている水の料金として、負担すべきものであり、ただ単に、地下水だけを飲みたいからという理由だけで、水道料金の値上げに反対して、累積欠損金という形で後世に負担を先送りすることは、決して許されないことであると私は考えます。
また、今回の水道料金の値上げは、単に受水費用としてだけでなく、既存施設の改良としての鉛給水管の順次取替え、災害対策としての緊急対策用貯水槽の設置、給水車の購入に係る資金、また将来的にさきほど述べましたクリプトスポリジウムに対応できる新規浄水場施設整備に係る資金を確保する目的もあることを認識しておく必要があると思います。ただし、京都府営水道の導入に伴う水源開発に要する経費については、後世にわたって負担すべき側面もあり、今回一般会計からの繰入れについての考え方を整理されたことから、一般会計からの繰入れは実質の値上げという見方もありますが、毎年8,360万円を水源開発に要する経費の3分の1として一般会計から繰入れることはやむをえないものと判断できます。
次に、ペナルティ方式とも言える逓増型水道料金の見直しについては、地下水だけを唯一の水源としていた時代から府営水を導入した平成13年4月の水道料金改定時に、大口事業所の地下水から府営水への転換を進めるために、逓増型から段階別の逓増逓減型へ変更され、今回の改訂では段階別水量単価の最高額と最低額の開きが4.3倍から3.6倍へ、最大水量と最小水量では3.7倍から2.9倍へと逓増度が縮小されたことは評価するところです。今後は水道事業懇談会の提言にもありますように、受益者負担の原則からも水量に対する料金負担割合を是正するために、さらなる逓増度の縮小を目指すべきだと思います。
また、平成13年4月の水道料金改訂を議決した平成12年12月議会での付帯決議の3点については、これまでに行われてきた懸命な企業努力と京都府との調整の中で一定の成果をあげられてきたと判断しますが、議案書に添付されている「水道料金改訂資料」4ページの3.事業運営の今後の課題、<1>お客様の視点での市民サービスの向上、<2>安全な水を安定的に供給するための危機管理の強化、<3>経営効率の向上と計画性・透明性を高める経営改革の推進、<4>将来の施設更新の効率的な手法として広域化の検討、<5>府営水道の受水費の軽減という5点の課題解決と、同資料5ページにある数値目標の達成へ向けて、上下水道局の職員が一丸となってこれからの水道事業経営を実行されることを強く要望いたします。
特に、課題<3>にあります水道事業運営の透明性を高めるためにも、地下水原水の水質状況や水道事業の財政状況、そして今回の水道料金改定の必要性、重要性についてなどを、「広報ながおかきょう」や「長岡京水だより」、「市ホームページ」など各種媒体をフルに活用し料金改定実施前に、市民の皆さんにわかりやすく周知徹底されること、そして課題<5>の府営水道の受水費の軽減については、今回の料金算定期間における財政収支計画に沿った受水量となるように計画している受水量の弾力化や、府営水道の3浄水系接続の早期実現による3浄水系の料金格差改善へ向けた京都府への要望と実現へ向けた取り組みについて、内部要因ではなく外部要因であるために困難はともないますが、確実に実行されることを要望します。
最後に、水道事業懇談会の提言の“むすび”であげられていた、「観光や公園事業などの担当部局との連携で、地下水を活用して、まちのイメージアップにつながる事業」については、平成15年の11月から12月にかけての長岡京市の水道事業アンケートで「料金が多少高くなっても地下水を優先してほしい」、「料金は高くなっても地下水を最大限使ってほしい」という回答をされた市民の方々の願いも実現できる施策として、財政収支上実現できる範囲での検討をお願いし、第91号議案に対しての賛成討論といたします。